「育休明けが怖い」「ブランクが不安」──仕事と育児の両立に悩む声は少なくありません。今回は、2度の育休を経験し、キャリアと真剣に向き合ってきたAsamiさんにお話を伺いました。
登場人物紹介
- Asamiさん:30代半ば。会社員と副業を両立する2児の母。夫、4歳の長男、1歳の次男と暮らす。第二子の育休中で、2022年2月に復職予定。
- インタビュアー(もな):育休経験者の同世代ママ。自身も復職の壁を体験しており、今回は聞き手としてAsamiさんの想いに迫ります。
「1人目の育休は…とにかく、やっと休める!って感じでした(笑)」

初めての育休って、どんな気持ちで迎えましたか?

本当に「やっと休める…!」っていうのが率直な気持ちでした。転職して間もない時期に妊娠が分かって、仕事のペースにも慣れきれていない中で毎日が忙しく、心身ともにヘトヘトだったんです。産休直前は引き継ぎ業務でさらに忙しく、早く休みに入りたかった…。

わかります、もう“仕事から逃げたい”って気持ちになっちゃいますよね。

ほんとに。だからこそ、育休前のキャリアの準備は何もしていませんでした(笑)。当時は「みんなやってるし、なんとかなるでしょ」っていう根拠のない自信もありつつ、出産準備よりも、とにかく体力づくりのためにヨガや水泳に通っていた記憶が強いですね。
📝産前産後休業・育児休業の基本ルール
育休に入る前に知っておきたい、休職に関する基本的な制度についてまとめました。
- ◎産前休業:どなたでも取得できます。出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、請求すれば取得可能です。
- ◎産後休業:どなたでも取得できます。出産の翌日から8週間は就業不可となります。ただし、産後6週間を過ぎて本人が希望し、医師が認めた場合は就業が可能です。
- ◎育児休業:1歳に満たない子どもを養育する労働者は、会社に申し出ることで希望する期間の休業が可能です(要件あり)。
※育児休業には、所属年数の条件や延長申請のタイミングなど、詳細なルールがあります。復職後のキャリア形成にも関わるため、事前の確認をおすすめします。
📖出典:厚生労働省「あなたも取れる!」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf
「育児がつらすぎて…予定より早く復職しました」

出産して育児が始まってみたら、想像以上に大変で。特に夜中の授乳や寝不足の連続に心が追いつかなくて、夜勤中の夫に泣きながら電話したこともありました。

それは本当にしんどかったですね…。

はい。1年まるごと育休を取るつもりでいましたが、「この状態を1年続けるのは無理」と思って。急遽、0歳児クラスでの入園を目指すことにして、情報収集をして、生後8ヶ月で保育園に預けて復職しました。

それは大きな決断。でも復職してみてどうでしたか

結果的にキャリア面ではすごく良かったです。2年近く働いてから第二子の育休に入れたので、職場での信頼も得られたし、自分の中でも「また育休取ってすみません…」という罪悪感が和らぎました。
2回目の育休は「キャリアと向き合う時間」に変わった

2回目の育休では気持ちの変化があったそうですね?

大きく変わりましたね。1人目の時は「育児が中心」で、子どもとの時間を大事にしようと思っていたけど、2人目では「キャリア」や「働き方」について強く考えるようになりました。

きっかけは何だったと思いますか?

一番大きかったのは、1回目の復職後に“浦島太郎状態”になったことですね。PCの操作も忘れてるし、会議のスピード感にもついていけなくて、自分だけ置いていかれてるような焦りを感じて。「このままじゃマズい」と思いました。
副業、学び、つながり──「自分の未来の選択肢」を広げる行動

その思いからどんな行動を?

キャリアコンサルタントの資格を活かして副業を始めたり、社会人大学院で学び直したり、オンラインイベントにも参加・主催しました。コロナ禍でオンラインが主流になったのは、私にとっては追い風でしたね。

そこまで前向きに動けたのはなぜ?

1回目の育休中は「自分には子育て以外の居場所がない」と感じてすごく孤独だったんです。それが本当にしんどくて…。だから今回は「家庭以外にも自分の居場所を作りたい」という気持ちが強かったですね。

「自分らしい時間」って大事ですよね。

はい。「母親である私」も大事だけど、「働く私」「学ぶ私」も取り戻したかった。結果的に人的ネットワークも広がって、視野もすごく広がりました。
🎓国家資格キャリアコンサルタントとは?
キャリアコンサルタントとは、キャリアコンサルティングの専門家です。企業、ハローワーク、教育機関、若者自立支援機関など、さまざまな分野で活躍しています。
<受験資格について>
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
- 労働者の職業選択や職業能力開発に関する相談業務に3年以上従事した経験を有する者
- 技能検定「キャリアコンサルティング職種」の学科試験または実技試験に合格した者
- その他、同等以上の能力を有する者
詳しい内容や最新の試験要項は、厚生労働省の公式サイトをご参照ください。
🔗出典:厚生労働省公式サイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consultant01.html
💡コロナ禍を経て広がるキャリア支援のニーズ
近年では、キャリアコンサルタントの資格を持つ方が、個人や法人を対象としたキャリアカウンセリングを行う場面が増えています。
特にコロナ禍以降、「これからの自分の生き方や働き方を考えたい」といったニーズが高まっており、“個”としてのキャリアを見直すきっかけとして、多くの方に活用されています。
「会社とのつながり」を持ち続けたことが復職の不安を和らげた

会社との関わり方にも意識的だったと聞きました。

はい。1回目は完全に会社から離れてたんですけど、2回目は違いました。人事や元同僚とこまめに連絡をとったり、副業の相談をしたり、復職時期の調整をお願いしたり…。事前に相談していたので、復帰への不安も軽減されました。

結局、要望は通ったんですか?

結論から言うと通らなかったんですが(笑)、ちゃんと話せたことで、「ちゃんと理解してくれてる人が社内にいる」って安心感が生まれました。
【読者へのメッセージ】育休は「キャリアの分岐点」にできるチャンス

育休中って、育児で精一杯になる一方で、自分のこれからを見つめ直せる貴重な時間でもあると思います。
副業でも、学びでも、つながりでも、どんな小さなことでもいいから一歩踏み出してみてほしい。きっとその行動が、復職後の安心や自信につながると思います。
まとめ:育休中に“何か”を始めた人は、復職が楽になる
- 育休は、ただの「休み」ではなく「立ち止まって考える時間」
- 自分と向き合い、会社や社会とのつながりを意識しておくと復職がスムーズに
- 家庭と社会の“両方”に居場所があると、育児も仕事も前向きになれる
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