小一の壁に向き合ったママの決断とは?
「小一の壁」という言葉を聞いたことはありますか?
保育園時代と比べて、小学校に上がると生活リズム・子どもの精神的な負担・親のサポート負担が大きく変わります。特に共働き家庭では、「小一の壁」はキャリアにも大きな影響を与える悩ましい問題です。
今回は、そんな「小一の壁」に備えて18年勤めた会社を退職し、再び自分らしい働き方を見つけた2児のママ・ももさんにお話を伺いました。
ももさんプロフィール※2022年時点
- 埼玉県在住・40代
- 夫(39歳)、息子(小2)、娘(年少)の4人家族
- 新卒から建築系メーカーで18年間勤務(営業職)
- 2020年3月に退職し、1年間の専業主婦を経てキャリアコンサルタント資格を取得
- 現在はパート+副業(ミートキャリア)+ボランティア(mog)のパラレルワークを実践中
「時短終了」と「小一の壁」が重なり、退職を決断
共働き世帯の母親のうち、「子どもが小学校に上がるタイミングで仕事を辞めた、または辞めようと考えたことがある」と回答した人は全体の約30%にのぼります。
出典:内閣府「子育てと仕事に関する調査」
就学時に直面する主な課題(複数回答)
課題 | 回答率(%) |
---|---|
子どもの生活リズムが整わない | 45.8% |
学童保育の空きがない/利用しづらい | 42.3% |
宿題・学習のサポートが想像以上に大変 | 38.1% |
長期休暇中の対応が難しい | 34.7% |
子どもの精神的負担が大きい | 31.2% |
※データは内閣府「子育てと仕事に関する調査」より引用・再構成
「このまま働き続けるのは難しい」と思った瞬間
――18年勤めた会社を退職することに、不安はなかったですか?

もちろん迷いはありました。でも、会社の時短勤務が「3歳未満」までしか使えず、リモートやフレックス制度もなく…。「この働き方で小学生の育児は無理だ」と感じたんです。
息子の小学校入学と、下の子の時短終了がちょうど同じタイミング。環境が激変する時期に、フルタイムで働くのは現実的ではありませんでした。
小学生ママの先輩たちの声が、決断の後押しに
――具体的にどんな部分が「壁」だったのでしょう?

まず、帰宅後の親のタスクが爆増します。
保育園時代は、お風呂とご飯と寝かしつけが中心。でも小学生になると、宿題チェック、音読、プリント確認、翌日の準備…。これを仕事終わりにこなすのはかなり大変です。
さらに、早寝早起きが必須になるので、就寝時間を前倒ししないと翌朝起きられません。そうすると、夕方の数時間が命綱。時短でも厳しいと感じ、フルタイムなんて到底無理だと思いました。
「特例は作れない」と突きつけられた現実

会社には、時短制度の延長を何年もかけて交渉していました。でも「前例がない」「制度を変える予定はない」の一点張り。
上司も人事に掛け合ってくれましたが、最終的に社内のワーママにアンケートを取り、役員に直談判したもののダメでした。
「このままでは変わらない」
そう実感した時に、ようやく退職の決意が固まりました。
退職して感じた「よかったこと」と「不安だったこと」
退職してよかったこと
- 子どもに「おかえり」が言える
- 子どもの様子を細かくキャッチできる
- 生活リズムをゆったり保てる

下校時間に合わせて迎えに行って、ランドセルを揺らして帰ってくる息子を見る瞬間。
「ああ、私が望んでいたのはこれだった」と心から思いました。
おやつを食べながら学校の話を聞いたり、一緒に虫取りしたり、ただただ笑ったり。そんな何気ない時間が、心の栄養になっています。
退職して不安だったこと
- 収入ゼロのプレッシャー
- 「このままでいいのかな」という漠然とした不安
- キャリアのブランクへの戸惑い

結婚してからもずっと正社員で働いてきたので、「自分に収入がない」という現実はやっぱりこたえました。家計は問題なくても、「このまま社会から取り残されるんじゃないか」と不安になることも…。
でも、それ以上に「やり切った、少し休もう」と思う気持ちが強かったです。
小一の壁を見据えて準備できること
ももさんが「こうしておけばよかった」と感じた具体的な備えを伺いました。
小一の壁の備えリスト
- 地域の先輩ママに話を聞く(登下校・宿題・学童・PTAなど)
- 会社の制度交渉は早めに始める(1年以上前がおすすめ)
- 家計シミュレーションをしておく
- 夫婦で家庭の役割分担を事前に話し合う
- 退職後の「自分の道」も同時に描いておく
再出発のきっかけは「キャリアコンサルタント」という選択肢
退職後、ももさんはキャリアを諦めたわけではありません。
むしろ「もっと自分らしく働くにはどうすればいいか」を考え続けた結果、「キャリアコンサルタント」の資格に出会います。
「自分と同じように悩むママを支援したい」

キャリア支援サービス「ミートキャリア」の理念に共感し、「私もこういう仕事がしたい!」とワクワクしたそう。
半年間の養成講座を経て、国家資格を取得。現在はミートキャリアでの副業、パート勤務、ボランティアなど「柔軟に働く」スタイルを確立しています。
現在の働き方:パラレルワークという選択
- 午後3時までのパート勤務
- 夜や週末にキャリア相談の副業
- ママ支援系ボランティア活動
「働き方は“1つ”じゃなくていい」
そう気づけたことで、今の充実した毎日があると語ってくれました。
小一の壁に悩む人へのメッセージ

「小一の壁」は、正解がないからこそ不安なんだと思います。
でも、自分がどんな親でありたいのか、どんな働き方をしたいのか――軸を持っていれば、迷いも整理されるはず。
たくさんの人の声を聞いて、自分の価値観を言葉にしてみてください。そして、自分で決めた選択を信じてあげてくださいね。
編集後記:自分と家族の“ちょうどいい”を探す旅
ももさんの決断とその後の再出発は、「退職=終わり」ではなく「新しい働き方のスタート」であることを教えてくれました。
「小一の壁」でキャリアを諦めたくない人、「退職したいけど不安な人」にとって、このインタビューが少しでも心の支えになれば幸いです。
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